2017年11月28日 鳥取県浄化槽推進市町村協議会 市町村職員研修会に登壇しました。

全国浄化槽推進市町村協議会からのご依頼で、鳥取県市町村職員研修会に行って参りました。

次の二つのテーマを担当し、研修を行いました。

第1部「最近の浄化槽行政の動向」

第2部「浄化槽の法定検査」

研修の参加人数は20人に満たない状況でしたが、皆さま熱心に聴講されていました。

鳥取県の浄化槽設置基数は、最も少ない県といってもよい県でありますが、それは人口が少ないことにもよります。その結果、行政担当者の人数も少なく、浄化槽行政専属の方はほとんどおられず、皆さま兼任という状況です。しかし、行政が担う業務が減ることはありませんので、大変な状況であることが推察されます。さらに、山間地域を多く有し、少子高齢化と人口減少が大きな流れとして押し寄せてきています。

研修最後には、【浄化槽行政について意見交換】の時間が設けられていました。その中での議論は、11月初旬に行われた会計検査の結果とその対応についてでした。会計検査院からの改善措置の要求は、浄化槽の規格(人槽)と使用人員の不整合についてです。

①使用人員等と比較して浄化槽の規格が過大になっているもの ⇒ 整合すれば国庫交付金が節減できること

②浄化槽の規格と比較して使用人員が超過しているもの ⇒ 生活環境の保全及び公衆衛生の向上に寄与できること

そのためには浄化槽の設置時に必要な対応(住宅の延べ面積のみで決定されるものではないこと、浄化槽の使用予定人員等を可能な限り把握すること)をとることと指摘されている。

以下、私見

会計検査院の立場としては尤もな意見ではありますが、浄化槽が設置されるまでの流れと浄化槽の処理機能には人数以上に水量の影響が大きいことも理解する必要があります。

JIS  A 3302 – 2000の改正に向けた技術的検討報告書では、次のような指摘を残しています。

「合併処理浄化槽では、処理対象人員が流入水量や流入汚濁量を必ずしも反映し得ず、個々の建築用途ごとに、水量,水質を設定して処理装置,処理施設を設計することが必要となる。この基本的な差があるにも関わらず、合併処理浄化槽の人槽規模が、単独処理と同じく、処理施設の流入負荷量を表しているとの誤解を受けやすい形となっていることにこの誤解の原因がある。当初から、個別家庭の生活状況の変化に対応できるものを設置する必要があることを踏まえると、人槽規模なる考えからの脱皮が必要であることを示唆しているといえる。これらを解決するためには、根本からの制度転換をして、人槽表示を改める時期に来ていると考えられる。」

これを踏まえて議論が行われ、戸建て住宅用浄化槽については、一般住宅用、過小居住宅用、二世帯住宅用という考え方を提案しました。しかしながら、当時の建設省では、従来どおり住宅の延べ面積からの算定のみを改正通知に示した経緯があります。

浄化槽の処理機能を維持するためには、容量的には余裕を持つことが安定して所期の性能を発揮することとなると考えられます。

現在、浄化槽はコンパクト化、モアコンパクト化が進み、余裕が極めて小さいと言えます。構造基準(例示)型の浄化槽では、好気性処理槽において夜間の流入水量が少ない時間帯において処理水を作り上げ、流入水によってそれを押し流していく程度の滞留時間が確保されていましたが、近年の浄化槽では、流れの過程で処理水を作り上げる必要があるため、流入水量が極端に増加する(盆正月等における水量増加、赤ちゃん誕生による洗濯排水量の増加等)影響が大きく、また、蓄積汚泥の撹乱等による影響が出やすい状況にあります。

浄化槽の実態を相互に共有し、適正な浄化槽が設置され、適正に維持管理され、安定した処理水質が確保されることを祈念してやみません。

 

2017年12月3日