2021年 11月28日~12月1日 宮古島市議の勉強会に行ってきました

宮古島に最初に訪問したのは、2008年頃1府5省のバイオエタノールプロジェクトであり、その製造過程で発生する汚水の処理に関して環境省側の委員として出席しました。

その後、宮古島には近年になって、何度も訪問することになります。数年前、沖縄県環境整備協会が主催の研修会で宮古島の方々が聞いておられて、一度、宮古島に来て欲しいという所から始まります。

行ってみるとコロナ前の宮古島は観光客数の急増による宮古島バブルの状態です。下水道計画はありながら、ホテル、アパート、作業員用宿舎等の建設ラッシュに対して浄化槽で対応している現状です。その浄化槽は必然的に合併処理浄化槽でありますが、処理水を一週間分溜める貯留方式です。山の無い宮古島は以前より地下水汚染問題が課題であり、なるほどと思いながら、建築確認が終わると貯留槽に孔をあけ地下に浸透している実態でした。

行政施策と実態があっていない現状を全く知らない状況でしたので、地元業者である有限会社パラダイスアメニティの西里さんに2018年の全国浄化槽技術研究集会で「宮古島、石垣島の地域特性と汚水処理の現状について」と題しご発表頂きました。問い合わせは多数ありましたが、宮古島市の行政施策に変わりはありませんでした。

その後、宮古島市では汚泥処理問題が勃発します。浄化槽等からの汚泥は下水処理に希釈投入されていますが、1日当たりの投入量は50kLに制限され、ほとんど午前中(早い時は10時過ぎ)で終了となる状態です。

そのため、市議会でもやり取りがあり、新たなし尿処理施設建設(汚泥再生処理センター)の建設が決まりました。予定地は伊良部島、処理能力は50kLとし、観光名所となっている伊良部大橋をバキューム車が何度も往復することになります。その処理能力は、これまでの実績ベースと沖縄県環境影響評価条例で規定対象となる規模の処理能力50kL/日以上にしたくない事から、50kL/日以下ありきで計画されたもので、しかも補助率の高い防衛省予算の獲得に向けた早急な対応でもありました。

当時、その計画書を見た限り大変ふざけたものであり、汚泥処理計画として発生汚泥の試算には、汲み取りし尿、浄化槽汚泥量等・・が全く不合理の状態でした。

その後、市長選で前市長が破れ新市長が選任されると、一度議会で承認されたものが新しい計画として下水道投入設備の増設で対応する提案がなされました。しかし、議会に説明が無いまま計画変更されたため、議会は紛糾し「宮古島市し尿等処理施設整備事業に関する調査特別委員会」を設置し課題整理がなされ、令和3年9月22日付で報告書が提出されました。

その市議会は任期満了に伴い10月24日に選挙が行われ、これから改めてし尿処理施設等・・・について検討することが必要になります。

前置きが長くなりましたが、今回のミッションは新しく選出された議員を中心に生活排水処理・汚泥処理の現状を知って頂く勉強会への出席です。とにかく基本計画が間違っていること、汚泥発生量が間違っていること、浸透式の汲み取り便所を改善しなければならないこと、令和3年3月に示されたエコアイランド宮古島推進計画で最重要課題の一つに示された地下水の保全を実施していくためには、抜本的な改革が必要であること等をお話しました。現在の貯留方式の浄化槽は補助対象とはならず、地下浸透する場合では高度処理浄化槽を活用することが必要であり、それには条例の制定がかかせないので、議会での議論をお願いしました。

また、全国の広域化・共同化計画の動きについてもお話申し上げ、下水道、浄化槽、農業集落排水施設等の各部局が一堂に会して議論を進め計画策定することが肝要であり、財源確保のためには環境税や入島税等を導入して住民負担を軽減していくための条例制定など、議会の責任は大きいことをお話しました。

12月から新しい議会が開催されることから、今後のご活躍を願うばかりです。

 

 

2021年12月3日