2022年 10月13日~14日 佐賀に行って来ました

今回の目的は、旧友にお会いすることと、佐賀市下水浄化センター視察にあります。

佐賀には久しぶりに参りました。教育センター在職当時、佐賀市での講習会も多く、鳥栖環境の故宮原さんに大変お世話になりました。講習会の前日または翌日に、浄化槽の視察も行うことができ、記憶に残るものとしては、鳥栖競馬浄化槽の流入変動対策に、開催日以外の日に生ずる硝化反応そしてpH低下対策としてカキ殻を網に入れてばっ気槽表面に吊るして可溶化させる方法、シュライバー方式(沈殿槽が中心にあり、ばっ気槽がその周りに位置し、散気装置が周回しながら全体をばっ気する方式)、その他、珍しい方式をいくつか見せて頂きました。

13日には、株式会社日本環境管理センター牧野社長と福岡から佐賀に入り、有限会社山内環境整備の中島社長にお会いしました。その社長が有田焼の名門「柿右衛門」と親戚関係にあるとの事で、「柿右衛門窯」にお連れ頂きました。それはそれは見事な白磁器にすばらしい絵付けがされた作品を見る事ができました。また、展示品のお値段も見事で拝見だけさせて頂きました。

夕方には、長崎県大村から(有)岩藤社長が開通したばかりの新幹線で武雄温泉まで来られ、しきりに新大村から12分で来れたバイと上機嫌、また、当時の教育センターに研修生として来られていた立野さん、中島さんの親戚同業者の中島さん達と楽しく会食することができました。

14日は佐賀市下水浄化センターの視察です。下水汚泥を肥料化まで行い、汚泥肥料として1キロ2円で販売しており、化学肥料の高騰の折、政府の注目度が高く、2023年度予算に汚泥肥料の利用拡大をかかげる等、期待されています。

本センターは分流式下水道で、水処理は沈砂池⇒最初沈殿池⇒反応槽⇒最終沈殿池⇒消毒設備⇒放流です(この処理水も一部液肥として農業利用しています)。近年、有明海の水質が改善される一方、海苔の色落ちが深刻となり、その原因は栄養塩不足であることから、海苔の養殖期には浄化センター内で窒素除去を押さえる運転とすることで、好影響が出ているとの事です。

汚泥は初沈汚泥と終沈汚泥を濃縮して消化槽へ導入し、嫌気性消化、発酵によりメタンガス回収を行い、そのメタンガスで発電(バイオガスマイクロコージェネレーション16台設置)し、余熱は消化槽の加温に活用しています。

消化槽からの余剰汚泥を汚泥堆肥化施設において(YM菌+調質剤)と混合して発酵を促進し、45日間で完了して肥料として販売しています。1キロ2円の低価格と肥料効果によって製品のストックが必要ないほどに利用されています。これまでの状況をうかがう限り順調に推移し好調で、地域住民、関係業者も加わった勉強会も開催する等によって、広く認知され好回転しているようです。

視察過程で、いくつかの疑問点はありました。

①消化槽の汚泥はかなり無機化が進んでいるが、堆肥化において容易に高温化までいくのか?堆肥化施設での高温化は初期段階だけで終わるが、消化汚泥であるために安定した堆肥になっている気がする。

②①の汚泥であれば、45日間という一般の堆肥化施設と比べて長くないか?実際にはかなり余裕があり、堆肥として売れるまでのストックヤードも兼ねているのか?

③消化槽の汚泥を脱水する過程で出る脱水ろ液は、前処理から処理されると考えられるが、脱水ろ液は直接液肥という方法も検討の余地がある(成分、臭気等の課題はある)。

④堆肥化施設からの臭気は初期段階で生物脱臭、後段は換気ということであるが、若干対策に不安が残る。周辺環境、立地からは、それほど問題にはならないのかも知れない。

汚泥の堆肥化については、宮古島と同様な処理フローであり、今後も注視していきたいと思います。

2022年10月15日