2023年 2月7-8日 石垣島、西表島に行ってきました

今回は、技術顧問をしているパラダイスアメニティの依頼で、A製糖工場の廃水処理施設の実態調査と改善対策を行う目的です。

石垣島と羽田空港の便は往復ともに満席状態で家族連れも多く見られました。聞くところによると、観光客に加えて新暦2月6日が旧暦1月16日がお墓詣りの日で、里帰りの方も含まれているようでした。

さて、製糖会社はサトウキビを原料として黒糖を生産するもので、廃水処理施設は約9年前に設置されたものです。沖縄の黒糖は8つの離島で年間9,000トンあまり生産されており、鹿児島の年10トンはるかに少ないようです。

製糖工場からの廃水は比較的BODが高いことに加え、製造過程において洗缶廃水が多量に排出され、これらを処理することになります。特に、洗缶には薬品洗浄(酸、アルカリ)を行うため、廃水処理装置において生物処理を行うためには、pH調整が必須となります。

廃水処理施設をみると地上設置型、スクリーン等の前処理施設が不十分で、一旦大きな槽に受けます。そこからpH調整の撹拌槽に32mm配管程度の定量ポンプで移送し、pH調整を行ってばっ気槽に入れます。流量調整機能はこのポンプの運転による定量移流をしているようです。しかしながら、この流量調整槽はほぼ満水に近い状態ですが、オーバーフローはありません。これまでには、ここまで移送するポンプおよびこの槽からポンプの目詰まりによるトラブルが頻発しているようです。途中に網かごを設けて除去されたものを見ると、バカスと言われる繊維状物質が多量に認められました。やはり前処理が不十分です。

また、pH調整タンク用のセンサー、かなり遠くに設置された薬品タンク、そのポンプも機能しておらず、海から極めて近い廃水処理施設は塩害の影響を大きく受けているようです。

pH調整されていない廃水はpH4程度ですので、活性汚泥にとって至適状態ではなく活性汚泥も良い状態ではありません。沈殿槽は正方形、センターウェルのホッパー型ですが、越流堰は一辺のみで上昇流が偏っており、フロックが流出している状況です。活性汚泥の沈降性による影響もありますが、それ以上に脱水機が機能不全に陥っており、汚泥管理ができない状況でした。

近々に廃水系統、流入水量、廃水性状、各設備の状況等を調査し、当面の対策と将来の対策を検討しなければならない案件でした。

 

 

2023年2月13日